登記時に大事な書類
相続や売買で不動産を取得した場合には、その不動産について所有権移転の登記をすることになります。今回は、それが完了したときに法務局から交付される「登記識別情報」についてのテーマです。
この登記識別情報は、不動産登記法という法律により規定されています。平成17年の法改正により発行されるようになったものです。登記申請人自らが新たに登記名義人となる登記申請をした場合に交付されます。
不動産登記法第21条(登記識別情報の通知) 登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該登記申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申し出をした場合その他法務省令で定める場合は、この限りではない。
ですので、登記名義人になったときでも、申請人でない場合は、その者には登記識別情報は交付されません。具体的な例をあげると、相続人の一人が保存行為として相続人全員のために法定相続登記を申請した場合には、申請人である相続人には交付されますが、その他の相続人には交付されません。また、債権者代位権に基づく相続登記の場合にも登記識別情報は交付されません。因みに、債権者代位権は民法第423条に規定されています。
民法第423条 (債権者代位権) 債権者は、自己の債権を保全するため、債権者に属する権利を行使することができる。ただし、債権者の一身に専属する権利はこの限りでない。
登記識別情報・登記済証・権利書
この登記識別情報は、改正前は、登記済証とか、一般的には権利書と呼ばれていました。この登記識別情報は、不動産を売却したり、贈与したり、抵当権を設定したりして、所有権の登記名義人が登記義務者となって登記をする際に、登記義務者に相違ない旨の本人確認を担保する方法の一つとして必要となります。
ですので、交付をされてるこの書類は破損•棄損したり、紛失したりすることのないように大切に保管する必要があります。もし万が一この書類を失くしてしまったり、この書類がない場合は、添付書類として提出することができなくなり、別途手続きが必要になります。
そうなると、手続きに手間がかかったり、専門家(司法書士)に依頼したりして、時間的にも経済的にも余分な費用が発生しますので、他の書類等とは別に、特別な場所等に大切に保管しておくことが大切です。
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